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     2022.11.30.
  建設業の人手不足:深刻なのは2次、3次以下の下請けだ!  
   
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下層下請で成り立つ現場だが人手確保が出来なければ!
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早晩廃業に追い込まれる!
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 1990年代にはGDPの18%を建設投資額が占め、建設業の就業者数も全体の10%以上、建設業は日本の基幹産業として日本の経済を支えてきた。
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 近年は、インフラ整備が成熟したが、地方インフラ需要の減少、人口減少、相変わらず横行する入札不正や業者との癒着が表面化している地方公共事業など建設工事のイメージダウンが続いている。新規公共工事の発注数や金額は少なくなり、建設業界のスクラップアンドビルのイメージは民間工事だけであり、公共の大型工事は減り、大手中堅ゼネコンの支店や営業所の人員も減る傾向にある。建設業界の環境は現在の日本の社会構造と同じ様な道をたどっている。就業者の30%が55歳以上の高齢者で、若年層は労働条件の悪化などで定着せず、建設業界は他の産業よりも高齢化が進んでいるのが顕著だ。
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     建設就業者の高齢化の進行
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    国交省  高齢者化の進行状況

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 建設業の労働者は、ピークだった1997年の685万人に比べ、2021年は482万人まで減少しています。しかも、労働者の年齢構成を見ると、60歳以上が全体の約4分の1を占めており、30歳以下の労働者は、全体のたった1割程度にとどまる。
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    日建連データ 建設就業者
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 建設業の施工工程の改善は徐々に進んできたが、製造業などと違い一品大量生産が出来ず、図面一組・オーダー生産(建売住宅でも全戸同一デザイン、同じ間取りとはいかない)であり、同じ資材・建材を使ってもデザイン次第では建設単価が違い、工期も変わってくる。あくまでも人の手を経て作られる「ハンドメード製品」である以上、施工を含めた全工程では携わる人の手は相変わらず多く、省力化にも限度がある。全人口が減少すれば就業人口も減り、きれいで楽をし、収入を得たい若者が喜んで就職する産業のイメージではない。
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      建設就業者の推移
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 製造業などと違い、労働環境整備が万全でないのも若者が敬遠する一因でもあるが、二次下請け以降の下層下請けにとって、労働環境整備に係る費用を負担できるほど請負金が高いわけでもない。勢い、最小人数で発注先の指示を消化するのがやっとである。
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      労務単価の推移
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 ところが、2024年4月1日から改正労働基準法が適用され長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランスの向上など、働きやすい職場環境への改善が要求される。働き方改革によって、罰則つき時間外労働の上限規制が建設業にも適用されることになる。
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       労働時間の推移
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時間外労働の上限は
1.時間外労働が年720時間以内
2.時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
3.時間外労働と休日労働の合計について、複数月平均がすべて1ヶ月あたり4.80時間以内(2~6ヶ月平均)
5.時間外労働が月45時間を超えられるのは、年6ヶ月が限度
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 職場環境の改善と言っても、民間工事を専門に請け負う2次、3次下請けが、法を盾に要求しても、元請に太刀打ちできるのだろうか、逆に仕事量が減るのが心配で順法に背を向けた労働環境下で社員を使うことになりかねない。
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 現在のところ、不足就業者の補充は外国人に頼っているが、高齢による技能者が退職、離職などで減少していくなか、どれだけ機械化に依存できるのか、下層下請や専門業者の技能者不足に対応しようとして、大手建設業は省力化の技術開発に力を入れている。ハンドメード業界にとって難しい課題ではある。
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     外国人材受け入れ状況
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 労働就業者のなかで、現場に慣れない従事者を使う上で、避けられないのが事故である。重機転倒、クレーン転倒、重量運搬車転倒など毎日のニュースに掲載されるので嫌でも目に付く。
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     労働災害派生発生状況の推移
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つづく

図やグラフ等のデータ等は日建連HPから拝借しました。