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   2023.11.27.
  掛川市・市有地を誤売却:二審裁判で決着! 
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損賠(3398万1920円)遅延損害(190万497円)支払命じる!
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3000万円超の損害賠償・職員に請求できるか!
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行政財産を普通財産としていた!
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 静岡県掛川市で本来は売ってはいけない市有地を不動産業者に売却してしまうという“ありえない”事態が起きた。賠償金として不動産業者に支払った費用を職員に請求できるのか検討する第三者委員会が始まった。
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原則として売却禁止の“行政財産”が売却された。
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 行政財産とは地方自治体が所有する庁舎や学校、図書館などのことを指し、地方自治法では一部の場合を除き「貸し付け、交換し、売り払い、譲渡し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない」と規定されている。原則、売却や譲渡など、原則として禁じられている。
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 掛川市ではこの“行政財産”を誤って市内の不動産業者に売ってしまうという事態が起きた。
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 市内にある住宅地「家代の里」の一角にある土地で、広さは約3000㎡。この土地は区画整理事業にともない地元の区画整理組合から市に譲渡され、本来は行政財産として維持・管理すべき緑地だった。
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 2018年3月、市は不動産業者に1001万8000円で売却してしまった。
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 なぜ行政財産が売却できたのか。
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 売買契約書に痕跡が残されていた。契約書には、当該地は“普通財産”と明記されている。普通財産とは、行政財産以外の一切の公有財産のことで、つまり市は当該地を行政財産として扱うために必要な手続きをしていなかった。
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 市は後に「本来、行政財産として管理すべきところを慣例により普通財産として処理していた」と釈明し、売却する際も確認すべき部署への問い合わせを怠っていたという。
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 問題が発覚したのは売却から4カ月後。県と都市計画道路に関わる協議をする中で「地区計画で定める行政財産ではないか?」と指摘されたのだが、市はすぐにはこの事実を不動産業者に伝えなかった。
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 県の指摘を放置し、不動産業者に連絡したのは1年後だった。市の不始末を棚に上げ、「土地代を返すので当該地を返還してほしい」の一点張りだった。
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 不動産業者は、造成に向けて7800万円もの費用を投じてしまったと主張。不動産会社の顧問は当時の取材に対して「誠意がない。みんな責任回避。もっと早く来てくれれば土地代だけで済んだ」と憤った。
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 行政特有の処理の仕方で、連絡までにチンタラ、チンタラと1年もの時間を要したのは「市が管理しなくてはならない土地であるかの検証と買戻しについての対応協議に費やしていた」ことが理由で、本来は売却してはいけない財産を売ってしまったことになるので「契約自体が無効になる」との主張を曲げなかった。実に身勝手なのである。
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 お役所特有のダラダラ交渉に、不動産業者は2020年6月、当該地を取得できないことによって宅地造成が出来なくなったとして、市に開発によって得られたであろう利益として2億6000万円あまりの損害賠償を求め提訴。
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 当時の松井三郎 市長は当該地の売買契約を締結したことに過失があったことは認めた上で、「土地代や事務処理代などは損害賠償の対象とするスタンスだが、2億6000万円という数字は想定していない。宅地造成については市の機関決定は一切無いので『その補償をしろ』と言われても、話し合いで『わかった』という状況にはない」と反論した。
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 市は2020年10月、市が負うべき損害賠償の範囲について争うとして応訴。さらに翌月には売却した当該地の所有権抹消登記を求める訴えを起こした。
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 2年後の2022年10月。一審の静岡地裁の判決。不動産業者が当該地を返還と引き換えに、土地代1001万8000円と2500万円あまりの損害賠償金などを市に支払うよう命じたが、これは双方ともに不服があり控訴。
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 2023年8月。二審の東京高裁は当該地の返還と引き換えに、市に対して土地代(1001万8000円)と損害賠償金(3398万1920円)、遅延損害金など(190万497円)を支払うよう命じ、双方とも上告しなかったため、9月1日判決が確定した。
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 市は久保田崇 市長が不動産業者に直接謝罪するとともに、判決で命じられた額の支払いを済ませた。
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 市は売却の事務処理に関わった職員に対して、業者に支払った損害賠償を請求できるかどうか検討するため、弁護士による第三者委員会(正式名:掛川市職員賠償責任等審査委員会)を設置した上で審査を依頼。
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 対象はすでに退職した職員にも及び、第三者委員会は聞き取り調査などを経て2023年度中に結果を取りまとめる方針。
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 久保田市長は今回の問題を受け「市民の信頼を損ねたことを心から深くお詫び申し上げる。二度と不適切な事務を起こさないよう市政運営に努める」とコメントした。
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